
異種間恋愛
第12章 獣の正体と契り
――むかしむかし、ある国にそれはとても美しい王子様がいました。王子様は優しく、頭もよかったので誰からも愛されていました。
しかし、そんな王子様を妬ましく思ったある男が呪いをかけて王子様を獣の姿にしてしまいました。
突然獣の姿になった王子様は驚きました。
『ああ、僕はずっとこんな姿のままなのか。しかしここにいては皆を恐がらせてしまう。森で暮らそう」
そして王子様は人知れず森へ行き、そこで暮らすことになりました。
それを悲しんだのは王子様の母上でした。
いてもたってもいられなくなった母上は魔女のところへ行って王子様をどうすれば元の姿に戻せるのかと聞きました。
『この悪魔の呪いは強力でわしにも解くことはできない』
長い鼻をした魔女は言いました。
母上はとても悲しんで何度も魔女に頼み込みます。
『今すぐに助けることはできないが、いつか王子を救う者があらわれる。それまで待つしかない』
母上は喜びました。
そして時は流れ、王子様の母上もとっくに亡くなった頃、獣が住む森にひとりの少女が現れました。
少女は優しい獣を好きになり、いっしょに森で暮らすことになりました。
しかし獣は悲しそうな顔をします。少女はその理由を聞きました。
『僕は醜い獣です。あなたを幸せにすることはできません。早く森を出て人間と一緒に暮らして下さい』
少女は首を振りました。
『私は十分幸せです。あなたといるだけで幸せなのです』
笑顔で言う少女に獣は喜びました。
そして、ふたりは愛し合いました。するとどうでしょう。獣はすっかり美しい王子様に戻ったのです。
『これであなたをもっと幸せにできますね』
王子様は美しいその顔で少女に手を差しだしました。少女は笑いました。
『いいえ。私はあなたが獣の姿でも人間の姿でも同じだけ幸せですよ』
王子様はその言葉に泣いて喜びました。
そしてふたりは人々に祝福され幸せな日々を送りましたとさ――
本の中の絵には黄金の獣と小さな少女が描かれていた。物語の最後の絵は少女と王子様が森の中で結婚式を挙げているものだった。
しかし、そんな王子様を妬ましく思ったある男が呪いをかけて王子様を獣の姿にしてしまいました。
突然獣の姿になった王子様は驚きました。
『ああ、僕はずっとこんな姿のままなのか。しかしここにいては皆を恐がらせてしまう。森で暮らそう」
そして王子様は人知れず森へ行き、そこで暮らすことになりました。
それを悲しんだのは王子様の母上でした。
いてもたってもいられなくなった母上は魔女のところへ行って王子様をどうすれば元の姿に戻せるのかと聞きました。
『この悪魔の呪いは強力でわしにも解くことはできない』
長い鼻をした魔女は言いました。
母上はとても悲しんで何度も魔女に頼み込みます。
『今すぐに助けることはできないが、いつか王子を救う者があらわれる。それまで待つしかない』
母上は喜びました。
そして時は流れ、王子様の母上もとっくに亡くなった頃、獣が住む森にひとりの少女が現れました。
少女は優しい獣を好きになり、いっしょに森で暮らすことになりました。
しかし獣は悲しそうな顔をします。少女はその理由を聞きました。
『僕は醜い獣です。あなたを幸せにすることはできません。早く森を出て人間と一緒に暮らして下さい』
少女は首を振りました。
『私は十分幸せです。あなたといるだけで幸せなのです』
笑顔で言う少女に獣は喜びました。
そして、ふたりは愛し合いました。するとどうでしょう。獣はすっかり美しい王子様に戻ったのです。
『これであなたをもっと幸せにできますね』
王子様は美しいその顔で少女に手を差しだしました。少女は笑いました。
『いいえ。私はあなたが獣の姿でも人間の姿でも同じだけ幸せですよ』
王子様はその言葉に泣いて喜びました。
そしてふたりは人々に祝福され幸せな日々を送りましたとさ――
本の中の絵には黄金の獣と小さな少女が描かれていた。物語の最後の絵は少女と王子様が森の中で結婚式を挙げているものだった。
