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合縁奇縁〜ついてまわる運命〜

第2章 居場所

「しょうがないだろ。俺にとってはあの人が親父なんだもん。とにかく俺は、お前を連れて帰らないといけないの。」
「また・・・、またうちの居場所をとるの?!やっと見つけたと思ったのに、なんで?!」
唇をかんで、その後の言葉を飲み込む。その嫌みな男に背を向け、8のマークがついた扉に向かう。しかし、私を引き止める大きな手は、私の腕を強くつかむ。引き寄せる兄と顔を見合わせる。
「おめえの居場所はここじゃないだろ!どうしてそれが分からないんだよ!いつまで兄貴から逃げ続けるつもりだ。」
眉間にしわを寄せて私の目を覗き込むマコ兄には本当のことが言えなかった。
「ハル、まさか・・・頼まれたのか?」
黙っていた私につぶやくマコ兄はつかんでいた手の力を緩める。どうしてだよ。下を向く彼の口はしきりに言葉をもらす。

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