合縁奇縁〜ついてまわる運命〜
第2章 居場所
私の言葉に反応して、にっこりと笑う彼を見て私も自然と笑顔になる。
「うん、教室の。僕のこと覚えてたんだ。これからもお隣さんとしてよろしくね。」
照れくさそうに笑う彼の言葉をさえぎらない様に恭が続ける。
「そんで、多分知ってると思うけど、里中慎先輩。遥のお兄さんなんだよね。」
先ほどの会話を頭の奥底に片付け、あたかも今日、初めて会ったかの様に振る舞う。
「久しぶり、マコ兄!今年からここに入学したんだって?教えてくれればよかったのに。」
「ハルを驚かそうと思ってさ。」
口元を緩ませながら左側に流れる前髪を梳かす。その仕草は頭の中を一生懸命整理しようとしている時の仕草なのである。今さらになって、さっきの会話を後悔する。三番目の子どもはいつも甘えん坊なのである。いつもはかっこつけているのに、11歳の時までサンタクロースを信じていた様に、人には必ずいいところがあると信じているような性格なのである。少なくとも私の家はそう。だから、いくら自分を捨てた父親でも、面と向かってそのことを思い知らされるのは、心底辛いはずなのだ。
「うん、教室の。僕のこと覚えてたんだ。これからもお隣さんとしてよろしくね。」
照れくさそうに笑う彼の言葉をさえぎらない様に恭が続ける。
「そんで、多分知ってると思うけど、里中慎先輩。遥のお兄さんなんだよね。」
先ほどの会話を頭の奥底に片付け、あたかも今日、初めて会ったかの様に振る舞う。
「久しぶり、マコ兄!今年からここに入学したんだって?教えてくれればよかったのに。」
「ハルを驚かそうと思ってさ。」
口元を緩ませながら左側に流れる前髪を梳かす。その仕草は頭の中を一生懸命整理しようとしている時の仕草なのである。今さらになって、さっきの会話を後悔する。三番目の子どもはいつも甘えん坊なのである。いつもはかっこつけているのに、11歳の時までサンタクロースを信じていた様に、人には必ずいいところがあると信じているような性格なのである。少なくとも私の家はそう。だから、いくら自分を捨てた父親でも、面と向かってそのことを思い知らされるのは、心底辛いはずなのだ。