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合縁奇縁〜ついてまわる運命〜

第2章 居場所

「この芝、さすが南沢だよね。綺麗に手入れされてる。」
少し戸惑いながらももう一度芝を見る。そして後ろを振り返って口を開く。
「里中遥。サッカー経験者でないとこのよさはわからないんじゃない?」
推定163センチ前後の女子高生がそこには立っていた。口元が緩んだ彼女は、いっそうその小顔を引き立たせる。
「桐谷愛瑠。小二の時からボール蹴り続けてる。よろしく。」
少しキツい感じの話し方は彼女の作り出す大人の雰囲気と良く合っていた。差し出された手をつかみ、立ち上がる。スカートの土を払うと彼女の視線が体育館へと続く階段に向く。スーツ姿で腕組みするサングラス姿の男性。
「おーい。そろそろ式、終わるんじゃないかあ?休憩もいいけど、出席もしてくれよな。」
二人は顔を合わせ、気まずさの中、講堂へと歩を進める。

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