私には夢があるの。
第20章 お姉さんが言った。
部屋の奥のベッドには、
薄いクリーム色の
カーテンがかかっている。
…
ゆっくりそのカーテンが
かかっているベッドに
近づいて、足を止めた。
西「…おね、ちゃん?」
春「…ふっ…ん…しゅー…」
かすれた女の子の声。
そして、頑張って息を
している証拠の、音。
酸素マスクの音。
私は、そのお姉さんの
声を聞いただけで、
もう泣きそうで、
膝から崩れてしまいそうで、
眉をひそめて、口を抑えて、
声が出ないようにして、
それを必死に耐えた。
お「春夏?
…西鬼ちゃんが
お見舞いにきたわよ?」
私の後ろからおばさんが
カーテンの向こうの
お姉さんに話かける。