喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編
第2章 ♣海の女神♣
「過去のことなんぞ、どうでも良い。悠理、大切なのはこれからだぞ。わしは別にお前がどこで何をしてきてかを詮索するつもりもないし、だからといって、軽蔑もせん。過去は過去であって、今と切り離せば良いだけだからな。だが、過去を完全に断ち切るのは容易ではないぞ? お前にそれができるか―、それは、お前自身にしか判らないことだ。お前にその気があるというのなら、わしはお前に手を貸してやっても良いと思っとる。ただ、それだけのことよ」
それから十五分後。網元が急にちゃぶ台に突っ伏したので、悠理は色を失った。
「親方、親方っ?」
慌てて背に手を掛けて揺さぶった。
騒ぎを聞きつけて、眞矢歌が飛んでくる。
「どうかしましたか?」
「いや、その大変なんです。親方が急に」
悠理が声を震わせるのに、眞矢歌も声を震わせた、しかし、どうも別の意味を含んでいるようである。
悠理が訝しげに見つめると、眞矢歌は肩を震わせて笑っていた。
「大丈夫ですよ。父は眠っているだけですから」
悠理はハッとして網元を見た。なるほど、かすかに鼾の音が聞こえてくる。
それから十五分後。網元が急にちゃぶ台に突っ伏したので、悠理は色を失った。
「親方、親方っ?」
慌てて背に手を掛けて揺さぶった。
騒ぎを聞きつけて、眞矢歌が飛んでくる。
「どうかしましたか?」
「いや、その大変なんです。親方が急に」
悠理が声を震わせるのに、眞矢歌も声を震わせた、しかし、どうも別の意味を含んでいるようである。
悠理が訝しげに見つめると、眞矢歌は肩を震わせて笑っていた。
「大丈夫ですよ。父は眠っているだけですから」
悠理はハッとして網元を見た。なるほど、かすかに鼾の音が聞こえてくる。