喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編
第2章 ♣海の女神♣
結局、女神は悩み抜き、どちらも選べなくて、崖から身を投げて入水して果てた。女神が身を投げた崖のある岬を〝切別岬〟と呼ぶのは、その神世の昔の哀しい伝説に因んだものだという。
眞矢歌の言葉一つ一つが、烈しく吹きつける海風に乗り、沖に運ばれてゆくようだ。
「海に入った女神は泡となり、天に還ったといいます。でも、その魂はいつまでも海の底にとどまり、海や海上をゆく舟人たちを守っているのだとか。その魂を慰めるために、毎月一度、女神が天に還ったとされる日には一日、漁を休み女神に祈りを捧げるのです」
悠理は心もち首を傾けた。
「それが海神の祭、ということ?」
「そう。だから、こうやって、村の女たちは思い思いに浜辺に出て、供物を女神に捧げて、その魂の安からんことを祈ります」
眞矢歌はそう言い終えると、手にした小さな箱―どうやら升だったらしい―の中身も海に播く。
スカートから手を放すことになり、眞矢歌の穿いていた白いスカートは必然的に水に濡れることになる。しかし、悠理が残念に思ったのはそちらではなく、実はすんなりとしたきれいな脚が見えなくなってしまったことであった。
眞矢歌の言葉一つ一つが、烈しく吹きつける海風に乗り、沖に運ばれてゆくようだ。
「海に入った女神は泡となり、天に還ったといいます。でも、その魂はいつまでも海の底にとどまり、海や海上をゆく舟人たちを守っているのだとか。その魂を慰めるために、毎月一度、女神が天に還ったとされる日には一日、漁を休み女神に祈りを捧げるのです」
悠理は心もち首を傾けた。
「それが海神の祭、ということ?」
「そう。だから、こうやって、村の女たちは思い思いに浜辺に出て、供物を女神に捧げて、その魂の安からんことを祈ります」
眞矢歌はそう言い終えると、手にした小さな箱―どうやら升だったらしい―の中身も海に播く。
スカートから手を放すことになり、眞矢歌の穿いていた白いスカートは必然的に水に濡れることになる。しかし、悠理が残念に思ったのはそちらではなく、実はすんなりとしたきれいな脚が見えなくなってしまったことであった。