喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編
第2章 ♣海の女神♣
眞矢歌にも悠理の戸惑いは余すところなく伝わってしまったようだ。ますます紅くなり、うつむいている。
「私、兄弟もいないし、身近に父しかいないので、同年代の男の人って、どうやって話したり接したりしたら良いか判らなくて」
なるほどと、悠理は少し合点がいく。
世の中には、そういう種類の女もいるのか。とにかく、彼が初めて知る類の女ではあった。
「溝口さんに不愉快な想いをさせてるなんて、気づきませんでした」
心底済まなさそうに言われ。
「い、いや。別にそこまで気にして貰わなくても」
眞矢歌がその調子だからか、悠理まで調子が狂ってきた。これではお見合い中の男女が互いに恥じらいながら自己紹介をしているようだ。
「つくづく女って判らないっていうか、凄いなと思うな」
沈黙を持て余し、悠理はつい思い浮かんだことを口にした。
眞矢歌の物問いたげなまなざしに、余計なことと思いつつも喋ってしまう。
「幾らどちらも選べなくて困ったからって、別に海まで飛び込まなくても良いんじゃないかと思うんだけど」
海に入るなんて、苦しいだろうし、考えただけでゾッとする。
悠理が呟いたその時、眞矢歌が思いも掛けないことを言った。
「そう? 海に入るのなんて、それほど怖いことではありませんよ」
おい、待てよ。それじゃ、この人は海に入ったことがあるみたいな言い方ではないか。
彼の脳裏をそんな想いが一瞬、よぎったその時。眞矢歌がふっと笑った。先ほどまでの淋しげなものでもなく、恥ずかしそうでもない、自分を嘲笑うかのような微笑は彼女には似合わない。
「私、ずっと前に海に入ろうとしたの」
「―」
悠理は頭を鈍器で殴られたようなショックを受けた。あらゆる意味で、彼女には愕かされっ放しである。
「私、兄弟もいないし、身近に父しかいないので、同年代の男の人って、どうやって話したり接したりしたら良いか判らなくて」
なるほどと、悠理は少し合点がいく。
世の中には、そういう種類の女もいるのか。とにかく、彼が初めて知る類の女ではあった。
「溝口さんに不愉快な想いをさせてるなんて、気づきませんでした」
心底済まなさそうに言われ。
「い、いや。別にそこまで気にして貰わなくても」
眞矢歌がその調子だからか、悠理まで調子が狂ってきた。これではお見合い中の男女が互いに恥じらいながら自己紹介をしているようだ。
「つくづく女って判らないっていうか、凄いなと思うな」
沈黙を持て余し、悠理はつい思い浮かんだことを口にした。
眞矢歌の物問いたげなまなざしに、余計なことと思いつつも喋ってしまう。
「幾らどちらも選べなくて困ったからって、別に海まで飛び込まなくても良いんじゃないかと思うんだけど」
海に入るなんて、苦しいだろうし、考えただけでゾッとする。
悠理が呟いたその時、眞矢歌が思いも掛けないことを言った。
「そう? 海に入るのなんて、それほど怖いことではありませんよ」
おい、待てよ。それじゃ、この人は海に入ったことがあるみたいな言い方ではないか。
彼の脳裏をそんな想いが一瞬、よぎったその時。眞矢歌がふっと笑った。先ほどまでの淋しげなものでもなく、恥ずかしそうでもない、自分を嘲笑うかのような微笑は彼女には似合わない。
「私、ずっと前に海に入ろうとしたの」
「―」
悠理は頭を鈍器で殴られたようなショックを受けた。あらゆる意味で、彼女には愕かされっ放しである。