喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編
第2章 ♣海の女神♣
十本以上あった花をすべて波間に流してもなお、眞矢歌は白い花たちが消え去った沖合を名残惜しげに見つめていた。その瞬間、やはり悠理の部屋に浜ゆうを飾っていたのは眞矢歌であったことを彼は知った。
「小さな港町では、高校生の妊娠は大変なスキャンダルだったの。私はそれが原因で高校は中退する羽目になって、父が何とか地元の郵便局で仕事を見つけてくれたんだけど」
眞矢歌は依然として彼方を見つめたまま話し続ける。
郵便局に正職員として入った眞矢歌に、その三年後、転機がもたらされるかに見える。相手は都会の大学を卒業して新採用されたばかりの郵便局員、つまり同僚であった。年齢的には眞矢歌より三つ年上だが、局では彼女の方が先輩になる。
ということで、眞矢歌は新入りの彼に先輩として色々と指導に当たることになった。若い二人が急接近するのは自然のなりゆきともいえる。
つきあい始めてから半年後、眞矢歌は彼から正式にプロポーズを受けた。もちろん、彼は眞矢歌の過去はすべて承知の上で結婚を決意したのだ。眞矢歌は幸せだった。三年前は彼の酷い仕打ちに泣いたけれど、その分、神さまはちゃんと見ていて、自分により大きな幸福をくれたのだと思った。
けれど、運命はどこまでも残酷だった。当時、眞矢歌は下腹部の痛みを憶えることが多かった。体調も思わしくないので、近くの内科を受診したら、紹介状を書くからと隣町の大きな婦人科に行くようにと言われたのだ。
診断結果は子宮筋腫。しかも重度だといわれた。軽症であれば薬を服用して様子を見ることも可能だが、ここまで重度になると、根治治療しかないと宣告される。
しかも、医師からは言われた。
―残念ですが、子宮摘出をしなければなりません。
つまり、子どもはもう永久に望めないということだ。眞矢歌は泣いた。もちろん、恋人も理解してくれると思った。でも、今度も男は彼女の許から去っていった。
「小さな港町では、高校生の妊娠は大変なスキャンダルだったの。私はそれが原因で高校は中退する羽目になって、父が何とか地元の郵便局で仕事を見つけてくれたんだけど」
眞矢歌は依然として彼方を見つめたまま話し続ける。
郵便局に正職員として入った眞矢歌に、その三年後、転機がもたらされるかに見える。相手は都会の大学を卒業して新採用されたばかりの郵便局員、つまり同僚であった。年齢的には眞矢歌より三つ年上だが、局では彼女の方が先輩になる。
ということで、眞矢歌は新入りの彼に先輩として色々と指導に当たることになった。若い二人が急接近するのは自然のなりゆきともいえる。
つきあい始めてから半年後、眞矢歌は彼から正式にプロポーズを受けた。もちろん、彼は眞矢歌の過去はすべて承知の上で結婚を決意したのだ。眞矢歌は幸せだった。三年前は彼の酷い仕打ちに泣いたけれど、その分、神さまはちゃんと見ていて、自分により大きな幸福をくれたのだと思った。
けれど、運命はどこまでも残酷だった。当時、眞矢歌は下腹部の痛みを憶えることが多かった。体調も思わしくないので、近くの内科を受診したら、紹介状を書くからと隣町の大きな婦人科に行くようにと言われたのだ。
診断結果は子宮筋腫。しかも重度だといわれた。軽症であれば薬を服用して様子を見ることも可能だが、ここまで重度になると、根治治療しかないと宣告される。
しかも、医師からは言われた。
―残念ですが、子宮摘出をしなければなりません。
つまり、子どもはもう永久に望めないということだ。眞矢歌は泣いた。もちろん、恋人も理解してくれると思った。でも、今度も男は彼女の許から去っていった。