喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編
第2章 ♣海の女神♣
堰を切ったように涙が溢れ出し、眞矢歌の頬を次々と濡らす。
「うっく、えっ、えっ」
眞矢歌は悠理の腕の中で、ずっと身を震わせ泣きじゃくった。
「眞矢歌さんは強いよ。ずっと長い間、重たいものをすべて自分一人で抱え込んで、そのせいで泣くことさえ忘れてしまっていたんだ。でも、もう大丈夫。一度泣いてしまえば、後はきっと、今までのように泣ける」
可哀想な眞矢歌。信じていた男たちに一度ならず二度までも裏切られ、どれだけ傷ついたことか。彼等の裏切りが眞矢歌の心を冬の氷のように凍らせ、涙すら奪った。
だけど、俺なら―。
悠理は眞矢歌の背に回した手に少しだけ力を込めた。
俺なら、この女をそんな風に泣かせたりはしない。誰よりも大切に愛おしんで、この可憐な面に哀しみではなく、幸福の微笑が浮かぶようにするだろう。
どれだけ泣いたのか。永遠にも思える刻が流れ、眞矢歌は次第に泣き止んできた。彼女が完全に泣き止むまでの間、悠理は辛抱強く眞矢歌を抱いて、時々は幼児をあやすように背中を撫でたりトントンと叩いてやった。
やがて、眞矢歌が恥ずかしげに顔を上げた。泣き止んだようなので、悠理は彼女から身を離し、自由にした。本当はもっとこうして眞矢歌のやわらかな身体を抱いていたかったけれど、こんなときに相手の弱みにつけ込む真似はしたくなかったし、何より眞矢歌自身に獣のような男だとは思われたくなかった。
「私ったら、嫌だわ」
眞矢歌の白い頬が染まっている。頬には幾筋もの涙の跡がくっきりと残っていた。
「まるで子どものように泣いたりして」
と、ハッとしたような表情になる。
「まあ、いやだ」
更に真っ赤になった顔は、まるで熟した林檎のようである。悠理は微笑ましくなって、つい笑顔になった。
「溝口さんの服! 涙で濡れてる。それに、汚れてるわ」
涙だけでなく洟も少しだけ付いてしまったことを気にしているのだ。そんな彼女を素直に可愛いと思えた。
「うっく、えっ、えっ」
眞矢歌は悠理の腕の中で、ずっと身を震わせ泣きじゃくった。
「眞矢歌さんは強いよ。ずっと長い間、重たいものをすべて自分一人で抱え込んで、そのせいで泣くことさえ忘れてしまっていたんだ。でも、もう大丈夫。一度泣いてしまえば、後はきっと、今までのように泣ける」
可哀想な眞矢歌。信じていた男たちに一度ならず二度までも裏切られ、どれだけ傷ついたことか。彼等の裏切りが眞矢歌の心を冬の氷のように凍らせ、涙すら奪った。
だけど、俺なら―。
悠理は眞矢歌の背に回した手に少しだけ力を込めた。
俺なら、この女をそんな風に泣かせたりはしない。誰よりも大切に愛おしんで、この可憐な面に哀しみではなく、幸福の微笑が浮かぶようにするだろう。
どれだけ泣いたのか。永遠にも思える刻が流れ、眞矢歌は次第に泣き止んできた。彼女が完全に泣き止むまでの間、悠理は辛抱強く眞矢歌を抱いて、時々は幼児をあやすように背中を撫でたりトントンと叩いてやった。
やがて、眞矢歌が恥ずかしげに顔を上げた。泣き止んだようなので、悠理は彼女から身を離し、自由にした。本当はもっとこうして眞矢歌のやわらかな身体を抱いていたかったけれど、こんなときに相手の弱みにつけ込む真似はしたくなかったし、何より眞矢歌自身に獣のような男だとは思われたくなかった。
「私ったら、嫌だわ」
眞矢歌の白い頬が染まっている。頬には幾筋もの涙の跡がくっきりと残っていた。
「まるで子どものように泣いたりして」
と、ハッとしたような表情になる。
「まあ、いやだ」
更に真っ赤になった顔は、まるで熟した林檎のようである。悠理は微笑ましくなって、つい笑顔になった。
「溝口さんの服! 涙で濡れてる。それに、汚れてるわ」
涙だけでなく洟も少しだけ付いてしまったことを気にしているのだ。そんな彼女を素直に可愛いと思えた。