喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編
第2章 ♣海の女神♣
「俺の服なんて、どうでも良いよ。どうせ、夜、眠るときだって、このまんまで眠るんだから」
悠理は笑って手を伸ばす。人差し指で眞矢歌の頬の汚れを取った。
「眞矢歌さんの可愛い顔が汚れてる方がはるかに問題だと思うけど?」
「えっ」
眞矢歌は愕いたように眼を瞠り、片手を頬に当てている。
「鼻水がついてたよ」
「そんな、恥ずかしいわ。もう! そんなことわざわざ言わないで」
眞矢歌が顔を紅くしたまま抗議するのに、悠理は悪戯っぽく片目を瞑って見せた。
「なら、一つ約束してくれる?」
え、と、眞矢歌が露骨に警戒の表情になった。
「何なの?」
「俺のこと、これからは悠理って呼んでくれる?」
「悠理―さん?」
「そう。何だかさ、溝口さんって呼ばれるのって、あまり慣れてないから」
「なんだ、そんなことだったの」
あからさまに安堵する眞矢歌に、悠理は揶揄するように言う。
「それとも、何? 眞矢歌さんは俺に別のことを期待してたのかなあ」
「別のこと? それって、どういう意味?」
歳の割には世慣れていないのか、高校生で妊娠まで経験した割には、眞矢歌は男女のことには疎いようであった。いや、疎かったからこそ、男の言うがままに身体を開かされ、妊娠させられてしまったのだろう。
男たちは皆、彼女の無垢な部分を都合良く利用したにすぎない。悠理の中で、また、眞矢歌を好きなように弄び利用した男たちに対する怒りの焔が燃え上がった。
本当に見当がつきかねるといった顔の眞矢歌に、悠理は微笑んだ。
「だから、例えばキスを迫られるとか、考えてなかった?」
「なっ」
眞矢歌の頬が今度こそ、燃えるように紅くなり、同時にパッチーンと小気味よい音が響いた。
悠理は笑って手を伸ばす。人差し指で眞矢歌の頬の汚れを取った。
「眞矢歌さんの可愛い顔が汚れてる方がはるかに問題だと思うけど?」
「えっ」
眞矢歌は愕いたように眼を瞠り、片手を頬に当てている。
「鼻水がついてたよ」
「そんな、恥ずかしいわ。もう! そんなことわざわざ言わないで」
眞矢歌が顔を紅くしたまま抗議するのに、悠理は悪戯っぽく片目を瞑って見せた。
「なら、一つ約束してくれる?」
え、と、眞矢歌が露骨に警戒の表情になった。
「何なの?」
「俺のこと、これからは悠理って呼んでくれる?」
「悠理―さん?」
「そう。何だかさ、溝口さんって呼ばれるのって、あまり慣れてないから」
「なんだ、そんなことだったの」
あからさまに安堵する眞矢歌に、悠理は揶揄するように言う。
「それとも、何? 眞矢歌さんは俺に別のことを期待してたのかなあ」
「別のこと? それって、どういう意味?」
歳の割には世慣れていないのか、高校生で妊娠まで経験した割には、眞矢歌は男女のことには疎いようであった。いや、疎かったからこそ、男の言うがままに身体を開かされ、妊娠させられてしまったのだろう。
男たちは皆、彼女の無垢な部分を都合良く利用したにすぎない。悠理の中で、また、眞矢歌を好きなように弄び利用した男たちに対する怒りの焔が燃え上がった。
本当に見当がつきかねるといった顔の眞矢歌に、悠理は微笑んだ。
「だから、例えばキスを迫られるとか、考えてなかった?」
「なっ」
眞矢歌の頬が今度こそ、燃えるように紅くなり、同時にパッチーンと小気味よい音が響いた。