喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編
第3章 ♣海ほたる舞う夜♣
判っている。柊路には感謝こそすべきで、恨むこと自体が間違っているのだ。聞くところによると、柊路は実里の生んだ子―つまり悠理の子を我が子として籍に入れているらしい。つまり、戸籍上も、悠理の血を分けた子どもは柊路の実子ということになる。
我が子でもない他人の子を籍に入れるということの重さを悠理も理解できないほど愚かではない。戸籍上も実子とするからには、柊路は生涯、その子に対して親としての責任を負わねばならない。よほどの覚悟がなければ、できない重い決断であったはずだ。
つまりは柊路がそれだけ実里を愛しているということの裏返しでもある。そう考えると、どうしても実里と子どもの両方を易々と手に入れた柊路に対して複雑な想いが湧き上がるのだ。
めぐる想いに応えはない。
トシのせいかな。最近、涙腺が妙に緩くなっちまった。
悠理は滲んだ涙をまたたきで乾かし、コンビニのドアを押して入ろうとした。と、背後からキャーキャーと子どもの歓声が聞こえてきて、愕いて振り向く。
見れば、今し方、バスから降りてきたばかりの小学生が二人立っていた。お下げ髪とショートヘアの女の子たちだ。
「なに?」
悠理を見上げてしきりにもじもじとしている彼女たちに、悠理は優しく問うた。
悠理はしゃがみ込んで、彼女たちと同じ眼線の高さになった。
「俺に何か用なの?」
お下げ髪の子が少し恥ずかしげに言った。
「お兄ちゃん、この町の人?」
「え?」
悠理は思いがけない問いに眼をまたたせた。
「いや、この町の人間っていえばいえるし、そうでもないともいえるけど」
我ながら、何とも判りにくい応えである。
すると、傍らのショートヘアの子がはきはきとした口調で言った。
「お兄さん、向井理さんですか?」
「え!?」
悠理は更に愕かされた。何ということを彼女たちは言うのだろう!
我が子でもない他人の子を籍に入れるということの重さを悠理も理解できないほど愚かではない。戸籍上も実子とするからには、柊路は生涯、その子に対して親としての責任を負わねばならない。よほどの覚悟がなければ、できない重い決断であったはずだ。
つまりは柊路がそれだけ実里を愛しているということの裏返しでもある。そう考えると、どうしても実里と子どもの両方を易々と手に入れた柊路に対して複雑な想いが湧き上がるのだ。
めぐる想いに応えはない。
トシのせいかな。最近、涙腺が妙に緩くなっちまった。
悠理は滲んだ涙をまたたきで乾かし、コンビニのドアを押して入ろうとした。と、背後からキャーキャーと子どもの歓声が聞こえてきて、愕いて振り向く。
見れば、今し方、バスから降りてきたばかりの小学生が二人立っていた。お下げ髪とショートヘアの女の子たちだ。
「なに?」
悠理を見上げてしきりにもじもじとしている彼女たちに、悠理は優しく問うた。
悠理はしゃがみ込んで、彼女たちと同じ眼線の高さになった。
「俺に何か用なの?」
お下げ髪の子が少し恥ずかしげに言った。
「お兄ちゃん、この町の人?」
「え?」
悠理は思いがけない問いに眼をまたたせた。
「いや、この町の人間っていえばいえるし、そうでもないともいえるけど」
我ながら、何とも判りにくい応えである。
すると、傍らのショートヘアの子がはきはきとした口調で言った。
「お兄さん、向井理さんですか?」
「え!?」
悠理は更に愕かされた。何ということを彼女たちは言うのだろう!