喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編
第3章 ♣海ほたる舞う夜♣
「ゆきなちゃんのお姉ちゃん、歓ぶよね」
ショートヘアが興奮した口調で言いう。
「あー、そうだ。今度、お姉ちゃんも連れてくるから、逢ってあげてください」
お下げ髪が言い終わらない中に、ショートヘアも負けずに口を開く。
「そういえばさ、隣のクラスのなのかちゃんも向井理ってカッコ良いって言ってたし、うちのお母さんもファンなんだ。皆、連れてこようよ」
彼女たちは勝手に話を纏め、悠理にバイバイと手を振る。
「皆、びっくりするよ。向井理のそっくりさんがこの町にいるなんて知ったらさ」
口々に興奮した面持ちで喋りながら去っていく。
ハアーと盛大な溜息が洩れ、悠理は首を振った。
「今時の女の子はあんなちっちゃな中から、たいしたもんだな」
彼女たちのお陰で、妙な感傷もどこかに吹っ飛んでいったらしい。
悠理はドッと疲れたような気になって、コンビニのドアを開けた。若手イケメン俳優の向井理によく似ていると言われるのは、何もこれが初めてではない。現役ホスト時代にも、この顔が目当てで通ってくるお客もたくさんいた。
だが、まさかここまで来て、しかも向井理当人に間違えられるとは想像だにしていなかったというのが本音である。向井理は知的でクールでありながら、その中に少しはにかんだような表情があり、そこが彼の魅力だという人は多い。だから、悠理も店ではそのイメージを崩さないように心がけていたものだ。
素顔の自分は向井理どころか、吉本新喜劇のお笑い芸人のように剽軽なのだから。取っつきにくいといわれる雰囲気は元はといえば、敢えて商業用に作ったイメージも混じってはいた。
しかし、悠理はまだ知らなかった。あの小さな女の子たちの恐るべきパワーに。
ショートヘアが興奮した口調で言いう。
「あー、そうだ。今度、お姉ちゃんも連れてくるから、逢ってあげてください」
お下げ髪が言い終わらない中に、ショートヘアも負けずに口を開く。
「そういえばさ、隣のクラスのなのかちゃんも向井理ってカッコ良いって言ってたし、うちのお母さんもファンなんだ。皆、連れてこようよ」
彼女たちは勝手に話を纏め、悠理にバイバイと手を振る。
「皆、びっくりするよ。向井理のそっくりさんがこの町にいるなんて知ったらさ」
口々に興奮した面持ちで喋りながら去っていく。
ハアーと盛大な溜息が洩れ、悠理は首を振った。
「今時の女の子はあんなちっちゃな中から、たいしたもんだな」
彼女たちのお陰で、妙な感傷もどこかに吹っ飛んでいったらしい。
悠理はドッと疲れたような気になって、コンビニのドアを開けた。若手イケメン俳優の向井理によく似ていると言われるのは、何もこれが初めてではない。現役ホスト時代にも、この顔が目当てで通ってくるお客もたくさんいた。
だが、まさかここまで来て、しかも向井理当人に間違えられるとは想像だにしていなかったというのが本音である。向井理は知的でクールでありながら、その中に少しはにかんだような表情があり、そこが彼の魅力だという人は多い。だから、悠理も店ではそのイメージを崩さないように心がけていたものだ。
素顔の自分は向井理どころか、吉本新喜劇のお笑い芸人のように剽軽なのだから。取っつきにくいといわれる雰囲気は元はといえば、敢えて商業用に作ったイメージも混じってはいた。
しかし、悠理はまだ知らなかった。あの小さな女の子たちの恐るべきパワーに。