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喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編

第3章 ♣海ほたる舞う夜♣

 悠理の身体の奥底から烈しい感情がほとばしり出た。
「だから! 眞矢歌さんはファンクラブの女の子たちに嫉妬したりなんかしないのかって訊いてるんだ」
「何で私が嫉妬するの?」
 ああ、この女は全然、判っていない。きっと惚れているのは自分だけで、眞矢歌は俺のことなんか何とも思ってはいないんだ。
 またしても、好きな女に見向きもされない―、その事実が悠理に向かって残酷に突きつけられる。
「そうだろうね。どうせ眞矢歌さんは俺なんて眼中にもないんだろうからね」
「悠理さん、何をそんなに怒っているの?」
 眞矢歌は本当に困ったような顔だ。うっすらと涙ぐんでいるようですらある。
 別に好きになったのは悠理の一方的なもので、それに応えなかったからといって、眞矢歌が悪いわけではない。それでも、悠理は止まらなかった。
 自分が大人げないふるまいをしていることも判っている。好きな女を泣かせるのは男として最低だとも認識していた。

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