喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編
第3章 ♣海ほたる舞う夜♣
駄目だ、それ以上、言うな。心の中でもう一人の自分がしきりに警告していた。だが、悠理はとうとう勢いで口にしてしまった。
「まだ判らないのか? 君は本当に鈍いね。俺は眞矢歌さんのことを好きなんだ!」
言ってしまった言葉は二度と取り戻せない。悠理は身体を強ばらせ、眞矢歌を見つめた。
気の毒に、予想外の展開に眞矢歌の小さな顔は、すっかり蒼褪めている。
その戸惑いしか示さない表情がすべてを物語っていた。彼女には悠理との恋愛なんて、考える価値すらないのだ。―もしくは傍迷惑なだけなのか。
どっちでも良い、見込みがこの先、ないのはどちらにしても同じことではないか。
もしかしたら、自分はどこかで良い気になつていたのかもしれない。数日前、眞矢歌が自分をそっと抱きしめ、〝過去はもう忘れて〟と優しく言ってくれた―そのことを勝手に勘違いしていたのだ。
あれが何か特別な意味を持つ行為だと、どうして一瞬でも考えてしまったのだろう。悠理にとって眞矢歌が特別な存在であるように、彼女にとってもまた自分は特別なのではないか、と。
「ごめん、こんなことを言うつもりはなかった」
悠理は低い声で言うと、居たたまれなくなって眞矢歌の前から逃げるように立ち去った。
「まだ判らないのか? 君は本当に鈍いね。俺は眞矢歌さんのことを好きなんだ!」
言ってしまった言葉は二度と取り戻せない。悠理は身体を強ばらせ、眞矢歌を見つめた。
気の毒に、予想外の展開に眞矢歌の小さな顔は、すっかり蒼褪めている。
その戸惑いしか示さない表情がすべてを物語っていた。彼女には悠理との恋愛なんて、考える価値すらないのだ。―もしくは傍迷惑なだけなのか。
どっちでも良い、見込みがこの先、ないのはどちらにしても同じことではないか。
もしかしたら、自分はどこかで良い気になつていたのかもしれない。数日前、眞矢歌が自分をそっと抱きしめ、〝過去はもう忘れて〟と優しく言ってくれた―そのことを勝手に勘違いしていたのだ。
あれが何か特別な意味を持つ行為だと、どうして一瞬でも考えてしまったのだろう。悠理にとって眞矢歌が特別な存在であるように、彼女にとってもまた自分は特別なのではないか、と。
「ごめん、こんなことを言うつもりはなかった」
悠理は低い声で言うと、居たたまれなくなって眞矢歌の前から逃げるように立ち去った。