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喪失、そして再生~どこか遠くへ~My Godness完結編

第4章 ♣永遠の女神♣

「あ、いや、そんなことはないと思うよ。眞矢歌さんは頑張り屋だもんな。俺も眞矢歌さんに負けないように頑張って、一人前の漁師にならなきゃ」
 と、ふいに悠理は眞矢歌のほっそりとした首に眼を止めた。眞矢歌の首には銀のチェーンについた小さな十字架が掛かっていたのだ。
「眞矢歌さん、そのネックレスはいつも付けてるのか?」
「え、これ?」
 眞矢歌が不思議そうな顔でネックレスに触れた。
「うん、十字架のネックレス」
 ああ、と、眞矢歌は納得したように微笑む。
「これは、いつも付けてるけど、それがどうかしたの?」
「へえー、今まで気づかなかった。もしかして、眞矢歌さんって、クリスチャン?」
「ええ、まあ、そう」
 眞矢歌は少し恥じらうように頷いた。手慣れた様子で首の十字架を外すと、手のひらに乗せる。
 十字架は二センチくらいの大きさで、何かの石でできているようである。薄紅色のなめらかな美しい石だ。
「何かの石でできてるのかな」
「インカローズ。別名をロードクロサイトともいうの」
「天然石か、今、流行りのパワーストーンっていうヤツだね」
「そうそう、インカローズの石言葉は過去を浄化して、未来の幸運を招くって意味があるのよ」
「眞矢歌さん、よく知ってるんだ」
「そんなに詳しくはないけれど、趣味で天然石のアクセサリーとか作るから、一応ざっとは知ってるかも。時々は友達に頼まれて作ることもあるの。将来は小さなお店とか開いて、自分の作品を売れたら良いな」
「それ、凄いじゃん。良いよ、良い。じゃんじゃん作って、売れば良い。その中、売れっ子ジュエリーデザイナーになれるかも」
「まさか」
 眞矢歌は笑いながら手を振る。

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