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Soul Of Blood

第1章 村と一本の電話

第四話 放浪者 前編

暗い・・・ 一言でまとめれば【暗い】

二人はただ黙って前に進む

「・・・」

「・・・」

「・・・なぁ」

先に口走ったのはロイだった

「何だ?」

「これって、ちゃんと前に進んでいる?」

「さぁ?」

「さぁ?って!おまっ!」

確かに入ってから数分は経っている それでもゴールの光は見えない

「何、心配するな!洞穴何て一方通行だ!迷うわけねぇだろ?」

「・・・た、確かに・・・」

やはり、こいつはポジティブだ 何を考えているのかは分からないが、何故かこいつの言う事が落ち着く

そして気を取り直して前へと進む



しばらく歩いていると前方に微かだが光があった

「おい!あれ出口じゃね!?」

「やっとだな」

ずっと歩きっぱなしなので足は重いがゴールと言う希望の前になると何故か足が軽くなる

そしてそのまま駆け出す

「やった・・・?」

しかし、その喜びさえも打ち砕かれる 出口付近に人影が見える そう、人影が・・・

ただ、その人影は遠くから見ても分かるぐらいに震えていた

ようするに【めちゃくちゃ怪しい】と言う事だ

「何・・・あれ?」

震えながらもロイが言う

「人・・・じゃない?」

「・・・そうか?」

人にしては怪し過ぎる その人影に近づく事で唸り声が聞こえる

「ううぅぅぅっ・・・」

そしてその人影は何故か頭を抱えてしゃがみ込む

「おい!大丈夫か!?」

流石に心配になったのか、カイトが飛び出した

「あ、おい待てよ!!」

それを追うようにロイも後をつける

近づいてしゃがみ込むカイトに口が走る

「おい!どうしたんだよ!?何かこの村でな・・・」

しかし、カイトの口はすぐに途切れた その人影の背中からブシュウと音を立て、一本の触手が人影の背中を貫いて出てきたのだ

『あぁぁぁぁぁっ・・・』

唸り声は更に上がるがその声は人が発する事すら出来ない程歪んでいた

「なんだ・・・こいつ?」

そしてその触手は振りかぶった

「!!」

いち早く動いたのはカイトだった 素早く飛び退いた

ブウゥン

やや遅れて風を切る鈍い音がなる

「ちぃっ!」

「大丈夫か!?」

幸いにも頬をかすれただった

頬から血が流れ出す

奴は一体?

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