俺はもう、
第4章 *どっちが大事?...
「悔しくないよ。
私が河野くんとできなかった理由が今わかったから。」
「っ・・ごほっ、理由・・・?」
「恐怖心よりも安心感が大きくならなかった理由。
河野くんは私を好きじゃなかった。単純にそれだけのことだったの。」
『玲奈・・・・』
玲奈はその場を立ち去ると、目に浮かんだ涙を拭った。
この状況で気付いたことが、もうひとつー・・・
河野くんが他の子と手を繋いだ光景を見たことよりも、優が夢ちゃんにキスした光景の方が私の胸が苦しくなった。
「・・バカみたい・・・・」
中庭のベンチで一人座る玲奈。
今さら気付いた。
私が河野くんじゃ安心感を抱けなかった理由ー・・・
私の好きな人は、河野くんじゃなくて優だってこと。