俺はもう、
第5章 *卒業...
今日は真っ直ぐ家に帰りたくなくて、寄り道をしながら近くのスーパーで買い物をして帰る。
「っ!?」
マンションの扉を開けると、ロビーで立つ優に玲奈は驚いた。
「何してんの?」
「遅い。」
「ここで待たられると怪しいからやめてよ。
せめて中で待ってて。暗証番号知ってるでしょ?」
「俺の誕生日ね」
オートロックを解除しようと鍵を回す玲奈の手がピタッと止まった。
「記念日とかに変えられてたら嫌だから今日は押せなかった。」
「なにそれ」
「なんで俺の誕生日なの?」
「忘れないから」
「自分の誕生日じゃくて?」
「推測されやすいものはダメなの。
ほら、早く入って。」
中に招き入れると二人でエレベーターを待つ。
「あ、」
「重いっしょ?」
黙って荷物を持ってくれたり、
「乗って。」
エスコートしてくれたり、
「なぁ飯なに?」
「肉じゃが」
「食っていっていい?」
嫌なことには触れず普通に接してくれたり、
優のそういう優しさに安心感を抱いてた。