季節を重ねていく度に。
第2章 告白
部屋に上がってあたしはなんか緊張していた。
何回も来ているのに、不思議だ。
「……華?」
「!?」
いきなり声を掛けられたと同時に、千尋はあたしを後ろから抱き締める。
「なした?お前なんか変だよ」
「えっ…い、いつものあたしだよ」
「そっかな…」
あたしの顔を覗き込み、唇に軽くキスをされて何だか力が抜けた。
千尋は意地悪そうに笑って抱き締め、頭を撫でる。
「あ…のさ、」
「ん?」
「あたしのこと、華って呼んでるよね…?」
「え?あぁ、うん」
うん、じゃねーよバカが!!
「あたしも、さ…下の名前で呼んだ方がいいかなぁ…って」
桜井は一拍置いて笑い、あたしの前に顔を出した。
「呼べんの?」
「へ?」
「恥ずかしくて呼べねーんじゃねぇの?」
にやにや笑う千尋はあたしをよくわかってる…
絶対、呼んだら顔が真っ赤になって無理かもしれない…
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