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あなたのそばで笑っていたい

第7章 虚しさ…

教室に着いて、けんとはカバンをそれぞれの机に置いてから私の側に来た。


『えみ…。』


優しく左手に触れる。


『見せて…。』


(またけんとに心配かける…。

でもごまかしても、けんとにはダメだ…。

左腕が痛いのバレてる。

駅でそれ以上聞かなかったのは、けんとの優しさだったんだ…。)


長袖のブラウスの袖を二の腕まで捲った。


『何だよこれ…!!またあの女かよ!』


(けんとは優しい…。
私の為に凄く怒っているのがわかる…。)


『あ…っ』


けんとは優しく、くすぐったいくらいの…
唇が触れるか触れないかくらい…
なぞるようにアザの部分にキスをする。


『早く治るように…。おまじない。ここにも…。』


おでこのガーゼの上からキスをし、そのまま目もと。


『いっぱい一人で泣いただろ…』


鼻…頬…にキスをする。


『一人で泣かせてごめんな。』


優しい声…。


『ん…!』


唇に強く、そして長いキスをした。


(一人で泣いただろ…ごめん…なんて。)


また涙が溢れてきた。


けんとは唇を強く重ねるキスから、
舌を絡めて激しいキスにかわった。


『チュッ、ピチャッ…んっ…。はぁ…。ピチャッ』


けんとの吐息と私の吐息が重なり…
教室には二人の舌が絡まるイヤらしい音が響いた。


『チュッ…んっ…。はぁ…。はぁ。』


けんとは、そっと唇を離した。


『おまじない完了。

えみ…。

見た目の傷はすぐに治る…。

でも、
えみの傷ついた心の痛みはすぐには治らない。

俺…一緒にえみの親に会うよ。』


(まっすぐしたけんとの目。

本気だ。

『避妊しろっ』

あんなこという親にけんとを会わせたくない…
けんとに何を言うか何をするかわからないから。)


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