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あなたのそばで笑っていたい

第7章 虚しさ…

みんなが教室に入ってきた頃、
あやめがあやと私をトイレに連れていく。


3人お揃いで買ってきてくれたグロスをあやと私に手渡してくれた。


『『この色、可愛い~。』』


あやとわたしがハモると、あやめはニッコリ笑う。


『でしょ~!』


嬉しそう。


グロスをつけて自分たちがまたひとつ大人になったようで、
鏡の自分にうっとり。


『みんなこの色似合ってるね。私自身が自惚れ~(笑)』


あやめは鏡を見ながらニッコリ笑って言う。


(この子の笑顔はみんなを笑顔にする。)


『あやめ可愛い。』


私は本心を言った。


あやが私を鏡ごしにジッと見てるのに気がついた。


『もちろんあや、あなたは美人だし可愛いよ。』


それでも笑わずに私の方に来ると、
あやが細い指で私の前髪を少し上にあげた。


『!』


あやもあやめも額のガーゼを見る。


『どしたの…!これ…!』


(本当のことを言えるはずもなく…)


『それが聞いてよ~。

遅刻したっと思って急いで支度して、
階段降りてったら踏み外して落ちちゃって…
壁にぶつかって。

しかも日曜日だったんだよ(笑)』


『本当に~?それコントだよ。』

と、あやめ。


『傷残らないと良いけど…。
気をつけてよね。
傷ひどくない?』

と、あや。


『うん。日焼けしないようしばらくガーゼ当てとく。』


二人に正直話せないのは、いつも楽しく笑っていたいから。


いつか笑って話せるときに、話せたら良いな…。



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