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あなたのそばで笑っていたい

第8章 再会

駅に着いてから、
フラフラとトイレへ向かった。


腕と手の平の小さなガラスの破片をとり、
ハンカチを濡らし血が出ているところを拭いた。


長袖のブラウスがところどころ切れてしまってる。


(長袖で良かったのかも…。)


制服についた食べ物をとり…
染みが落ちないままの状態でホームに向かった。


けんとはアザや額の傷でも親身になってくれた、
今の私を見たら…
きっと家に向かうだろう。


(けんとに迷惑かけられない…。)


お財布には目的地のぶんだけお金が入っている。


明日は亡くなったおじいちゃんの命日。

子供のころ、
休みになると父親に預けられていて…
おじいちゃんと過ごしていた。


再婚してからおじいちゃんはすぐに亡くなり…
葬儀に参加したあの日以来、
土曜日や日曜日に一人でお墓参りに行ったきり。


命日に家族でお墓参りに行くことがなかったし…
命日が平日だったから学校や門限でいけなかった。


(もう…おじいちゃんのところしか行くところがないよ…。)


小学校高学年からおじいちゃんがなくなるまでは…
一人でよくいっていた。


他の親戚はもっと遠くにいて、
共働きだったし、
葬儀で久しぶりに会ったきり。


(おじいちゃんのお墓に行っても…
おじいちゃんの家はもうない。

でも、もうそこしか行く宛がない…。)

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