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あなたのそばで笑っていたい

第8章 再会

知らない相手だからこそ話せるのかな…。


それとも…。


今夜はきれいな星を見ながら…
解放的な気分だから話せるのかな…?


私は10年前にさかのぼり…
ことの全てを話した。


両親の離婚から父親との生活。


休みの日になると、
ここにあったおじいちゃんの家に来ていたこと…。


高校に入学し、父が再婚してからのこと…
今日のこと…
友達に迷惑かけられないからここへ向かったこと…全て。


隣にいる名前も知らない人に…
星を見ながら独り言のように話した。


その人はただ黙って最後まで聞いてくれた。


『ふぅ…。これが全てです。

私が今日ここに来た理由。

…長々聞いていただいてありがとうございました。

なんか~、話したらすっきりしました…。うん!』


さっきまで、
黙って全てを聞いてくれていた男性が私の頭を優しく撫でながら言った。


『えみ…。無理しなくていい。

今まで暗くてわからなかったけど…、酷い傷だ…。

待ってて。』


走って行ってしまった。


(え…?
よくわからない…。
何で私の名前を知って…)


『っ…。おさむ兄…!!』


辺りが少し明るくなってきて…
今まで見えなかった姿がはっきりと見える。


小さい頃おじいちゃんのところに一緒に泊まったことがあった…
6歳年上のいとこ。


お互い一人っ子だったから、私もお兄ちゃんが大好きで…
お兄ちゃんも私を可愛がってくれた。


最後に会ったのは、おじいちゃんの葬儀のとき。


小学生の時以来の再会で、
大人のお兄ちゃんにドキドキした…。


でも、変わらず優しかった。


おじいちゃんの棺がある部屋で、夜中に泣いて空を見ていたら…。


『眠れないの?少し付き合うよ。』


側にいてくれた。


『明日も早いから、少し寝ないと。』


優しく気遣ってくれたのを覚えてる。


(おさむ兄だったなんて…。気がつかなかった…。)

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