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あなたのそばで笑っていたい

第10章 新しい居場所

車でお兄ちゃんのマンションまでは、
それほど時間はかからなかった。


『えみ。』


お兄ちゃんが指差す方を見る。


『ここ……?』


栄えた街の中に緑があり…
その中で高くそびえ立つマンションがあった。


間隔が十分にある2つのマンションのうち、
東京湾側がお兄ちゃんの住むマンションだという…。


『えみ。車こっちだから降りて。』


《バタン》


降りると自動の立駐に車をおさめる…。


その間に、その辺を見渡す。


…。


今まで住んでいた所とは違い…


『おしゃれ…。』


とにかくその印象一つだった。


『えみ、荷物は良いから。こっちだよ。』


『うん…ありがとう。』


お兄ちゃんについていく。


エントランスには受付嬢のようなひとが

『お帰りなさい。』
と、笑顔で出迎えてくれた。


鍵をさし…
番号をおすと更に番号が表示され、
それをエレベーターで入力する。


(ハイテク…。)


今まで本当に何も知らずに育って来たようで恥ずかしくなった。


『オレもはじめて見た時驚いたよ。面倒くせぇって。
でも、最近は物騒だから…な?
えみなら、すぐ慣れるよ。』


《リンっ♪》


『ここ。』


お兄ちゃんが鍵をさす。


(10階の最上階…。)


『入って。』


お兄ちゃんより先にすすめられ…。


『お邪魔します…。』


…。


玄関も…


廊下も…


リビングも…


見晴らしも…


『凄すぎ…。おさむ兄、お金持ち?』


『あはははは。お金持ちではないけど、この景色が気に入ってさ。』


(凄い…。)


部屋もきれいに片付いてる。


物もそれほどなくシンプル。


『えみ。こっち。』


行くと何もない7畳程の部屋があった。


『ここの部屋使って。
オレはこっちの部屋だから。』



はじめて見る男の人の部屋。


『失礼しま…す。』


(わぁ…。)


おしゃれでモダンなベージュで揃えられた素敵な部屋。


『えみ。お風呂こっち。
シャワー先に浴びといで。オレ後でで良いから。』


『うん。』

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