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あなたのそばで笑っていたい

第10章 新しい居場所

脱衣室も浴室の広さも…
私の知ってる“普通”より遥かに広い。


『ゆっくりどうぞ。』


タオルを出してもらい扉を閉める。


洋服を脱ぎ…。


鏡に移った自分に話しかける。


『ふぅ…。私ここにいて良いのかな…?』


お兄ちゃんが貼ってくれた絆創膏を1枚また1枚と剥がし…
額のガーゼをとる。


(少し膿んでる…。)


《シャー…!!シャっ…!!》


それほど強くない柔らかいシャワーのお湯。


それでも…


『んっ…!!』


両腕の傷がしみる。


髪を洗うのも体を洗うのも、手の平の傷がしみて痛い。


でも…
あの家にいたときに浴室で感じる痛みは…
体だけでなく心もズタズタで…
痛かった…。


(私…ここにいて良いのかな…。

…帰りたくないはない。

けど、
おさむ兄に頼って…
良いのかな…?)


“良いのかな…”


そればかりが気になって仕方がなかった。

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