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あなたのそばで笑っていたい

第11章 初めての携帯

《プ…プ…プ…プルルルル…》


(でるかな…けんと…。)


もう一度かけなおす。


《プ…プ…プ…プルルルル…》


(でないかな…?
留守番電話に入れとこうかな…。)


そう思った時。


『はい?』


知らない番号からで、不信そうなけんとの声が聞こえた。


『けんと?えみだよ。』


『おまえ無事か!?どこいんだよ!!?』


『ごめん。連絡遅くな…』


『もしもし?えみ!大丈夫なの!?どこいるの?』


(あやの声…。)


『あや…ごめんね。連絡遅くなって。』


『無事なの!?』


『…うん。』


『良かった…。無事だって。』


あやが二人にも報告する。


『もしもし、えみ!?
連絡きて良かった…。
今ね、えみの家に3人で向かってるよ。どこにいるの??』

と、あやめの声。


『家に!?』


(みんな私のこと心配してくれたんだ…。)


涙で目がぼんやりする。


『あのね、親戚が助けてくれて…家を出たの。
今、東京にいるんだ。』


『東京に!?

親戚のひとが助けてくれたって。

えみ、明日は?
学校これる?』


『うん。行くよ。
行ったら全部話すね。

みんな心配かけてごめんね。』


涙が溢れてきた…。


こんなに思われているなんて…。


『もしもし?えみ。
武井家から離れられて本当に良かったね。』

と、あやに変わった。


『気分は落ち着いた?』


『うん。』


『なら良かった…。ホントに良かった。
今日はゆっくりして。明日学校で会おっ!』


『うん!
ありがとう、あや。あやめ。けんと。』

『じゃぁね。』

と、あや。


後ろであやめが…

『明日ねぇ。』

と、言っているのが聞こえる。


けんとが、

『おぃ。俺の携帯かえせっ。』

って声も…。


きっと二人に横からとられたから(笑)


『明日ね。』


電話が切れた。


みんなの優しさが本当に嬉しかった。

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