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あなたのそばで笑っていたい

第2章 夜の公園

《キキっ》


『よっ、メシ食った?』


自転車をとめて私に袋を差し出すけんと。


(笑ったけんとの顔を見ると、
何だか気持ちが救われるよ。)


『食べてないよ…。』


(けんとの前で素になれてホッとする。)


今まで…
夜中に家を抜け出すなんてしたことがなかった…。


数ヶ月前にバイト先で知り合った賀来けんととは、
学校で話したことがなかった。


でも話してみると、面白くて優しくて…
バイトの休憩室で一緒にいるときに色々なことを話した。


学校の休み時間には…男女数人でたわいのない話をしたり、
カラオケにいったり、
とにかくみんなといるときが楽しい。


『これなら今食べても太らないから、大丈夫だ。』

と、けんと。


袋をのぞくと野菜たっぷりのサンドウィッチとハンバーガーとスナック菓子とコーラと野菜ジュース。


『あはは。これ太るって(笑)』


けんとはムっとして言った。


『それ、えみのだけじゃない。
俺のもあるからな。
このコーラは俺の。』


(こんなにたくさん持ってきてくれたんだ…
けんとありがとう。)


『うん。いただきます。』


野菜ジュースを飲む。


『何だよ。
食べないのか?
メシ食べさせてもらってないんだろ?』


(けんとに心配かけてる…)


『ん…?
もちろんお腹すいてるよ。
サンドウィッチもらっちゃおっ♪
でも夜中だし、半分けんと食べて。』


(けんとみたいに心配してくれる友達がいるだけで胸がいっぱい。
お腹もみたされる。)


『なぁ、えみ。
サンドウィッチは半分もらうけど、
あまりは持って帰って明日食べてな。』


『うん。ありがとう。貰うね。』


それから、楽しい話をしてたくさん笑った。

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