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恋愛アノマリーズ×1学期

第1章 新堂寺家の掟


「小依。前に教えたうちの決まりの二つ目、覚えてるか?」


 行為を終えて浴室から上がってきた私の髪をタオルで拭きながら、雪斗兄さんはそう言った。

 膝の上に座って後ろから話しかけられたせいで、表情がまったく見えない。

 けれど、きっといつも通りの余裕たっぷりな笑顔なのだと思う。


「覚えてます」


 そう頷いてから、何年か前に聞かされた二つ目の掟を思い出す。


「新堂寺家の者は、与えられた務めを全うしなければならない」
「そうだ。俺が今日お前に言ったことが、正しくお前の務めなんだ。気ぃ抜くなよ」


 はい。

 そう当然のように返事をすると、雪斗兄さんは「お前なぁ……」と呆れたような、笑うような声を上げた。

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