恋愛アノマリーズ×1学期
第2章 入学式前日、先生と
兄弟だけあって、雪斗兄さんとは顔のつくりがよく似ている。
少し吊り上った二重の瞳だとか、形のいい鼻や口だとか、きめ細かい黒髪だとか。
二人にはもう一人捺芽(なつめ)くんという弟がいるのだけれど、二人ほどは似ていない。
13歳というまだあどけなさの残っている顔つきのせいか、いつでも可愛さが先立ってしまうのだ。
それを言うなら、雪斗兄さんと遥さんだって性格はまったく違うけれど。
「なんだ?」
じいっと顔を凝視していたからか、表情も変えずにそう尋ねてきた遥さんに私は「なにも」と答える。
遥さんは雪斗兄さんが好きではないらしく、話題に出しただけで僅かに嫌そうな顔をするのだ。
雪斗兄さんと顔が似ているなんて、言えるわけがない。