恋愛アノマリーズ×1学期
第2章 入学式前日、先生と
「そっか、今来たばかり?」
優しげな口調でそう尋ねるその人に、私はもう一度頷いて「そうです」と答える。
すると、その人は嬉しそうに笑って「よかった」と言った。
「じゃあ、この学校できみに会ったのは俺が一番ってことだね」
「はあ……」
どうしてこんなにも嬉しがられているのかわからない。
そもそも、この人は私がどういう目的でここへ入学したのか知っているのかと眉を潜める。
そんな私の様子に、その人は「あ、自己紹介がまだだっけ?」と柔らかな口調で言った。
「俺は九条有紀(くじょうゆうき)。現国担当で、きみの担任」
よろしくね。
そういってニコリと微笑んだ九条先生へ、この分なら知らなさそうだと私は安堵の息をついた。