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恋愛アノマリーズ×1学期

第2章 入学式前日、先生と


「新堂寺小依です。よろしくお願いします」


 自己紹介へ返すようにそうお礼を言うと、九条先生はニコニコとした笑顔のまま「うん」と頷いた。

 外見も20代半ばといったところだけれど、内面はもっと幼い印象を与える人だ。


「じゃあ、とりあえず寮へ案内するよ。手続きがどうのうこうのって話を聞いてるかもしれないけど、理事長が勝手に済ませちゃってね」


 そういって少し困ったような笑みを浮かべた先生に、雪斗兄さんのやりそうなことだとぼんやり思う。

 多分、両親以上に兄さんは私のことについて何かしらの手を回していることが多い。

 これは本人から聞いた話だけれど、小中学校と九年間連続で担任が女性だったのも、席の周辺が女子で埋められていたのも、すべて兄さんによるものだった。

 ちょっとやりすぎじゃないだろうかと、さすがに思わずにはいられない。

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