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恋愛アノマリーズ×1学期

第2章 入学式前日、先生と


「あの、この学校に女の先生はいないんですか?」
「今年は、いないよ」

 
 少し含みのありそうな言葉へ首をひねっていると、九条先生がちらりとこちらへ振り返った。


「毎年必ず一人はいるんだけど、今年は残念ながらゼロ」
「どうして……?」


 今年は、という言葉と、ゼロという数字に思わず聞き返す。

 そんな、先生まで男ばかりだなんて聞かされていない。

 もし何か困りごとがあっても、女性には相談できないだなんて不安でしかないのに。

 私の言葉にくるりと振り返った九条先生は、「それはね」と言ってとある教室の前で立ち止まった。

 プレートには「国語科準備室」と書かれている。


「とりあえずここに荷物を置いてから話すよ」

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