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愛のかけら

第1章 2人の学園祭

きゅうううっと胸が苦しくて、愛しさが、こみ上げてきて直ぐに秋豊に駆け出して抱きつきたかったが、踊ったメンバーと裏側へ移動した。

まだ興奮が冷めず、一緒に今日まで練習した女子たちもネコグローブを小さく打ち合って緊張したね~最後まで出来たね~っと喜び合っている

優愛は、客席の秋豊が気になって気になって気になって・・

喜び合う女子からそっと離れて客席を見た
舞台袖から秋豊を見る

クラスの確か・・竜峰くん?だったかな?・・と親しげに話している

握手を交わしている。何だか不思議な光景・・

竜峰くん?が、優愛を見つけ小走りでよってくる
黒のパンツに白のシャツ、黒の蝶ネクタイはまるで・・竜峰くん?には悪いが七五三・・・
それ程幼い顔立ちに見える

「羽河さん。今から休憩行ってきて」
「え?いいの!?」
「うん」
「わぁ~ありがとう!」
願ったり叶ったりの優愛は、客席の秋豊に向かって駆け出した

「あっあきと!!!」
飛びつきそうになる自分を頑張って制して、にこぉっと微笑んだ

秋豊が優しい目をした

「一時間しかねー。抜けてきてやったぞ」

何故か偉そう・・いや、いつも偉そうなんだが、今日の秋豊はちょっとどや顔なのだ・・

気にもとめてない優愛は、付けもののしっぽが今にも振り出しそうな勢いで嬉しそうだ

「行くぞ」
「うん!あっ・・ちょっと待ってこれ外すから」
肉球グローブを外そうとした腕をぎゅっと掴まれ、そのまま引っ張られて教室を出る、恥ずかしいコスチュームのまま廊下を抜ける・・・

傍(はた)からは猫が連行されているように見える

秋豊は学園祭を廻るでもなく、人気の少ない、今回道具置き場や、教室内の物の一時保管場所として使っている棟へ繋がる階段へズンズン向かう

背中を見つめながら、連行・・ついて行く優愛

通路から奥まった小さなスペースに来た

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