妖(あや)しの月に~光と闇の王~【第二部 光の王】
第4章 第二部・生
恋しい女を守ろうと自らを犠牲にした彼女の恋人。その男は想い人を好色な国王の毒牙から守ろうとして死んだのだ。
清花が見るも無惨な格好で宮殿の門前に転がっていた事情を理解した瞬間だった。
「手を貸して欲しいの。お願い」
追い縋るように続けた清花を光王が初めて振り返る。
「それは、お前次第だ。俺は直接には手を貸さない。だが、お前が目的を遂げられるように、協力することはできる。人を殺すのは、お前が考えているほど甘くも容易くもない。相手を殺せなかったときは、自分が殺されるだけだ。だからこそ、玄人の刺客は相当の熟練した腕を持たなければならない。必ず一撃で相手を仕留めるだけの腕をな」
薄い茶色の瞳が氷のように澄み渡っていた。本当に、お前のような、やわな小娘にできるのか?
そう、問いかけているようであった。
「やるわ」
清花の彼に返した返事もまた呆気ないものだった。
「何度も言うが、口で言うほど、簡単ではないぞ? しかも、相手は国王だ。失敗すれば、お前は必ず生命を失う」
念押しされ、清花は初めて微笑んだ。
「私は一度、死んでいるのよ、光王。あなたたちに助けて貰って、めざめた時、私は生まれ変わったの。一度死んだ人間に怖いものはないわ」
「判った。手を貸そう。お前をどこに出しても恥ずかしくないようなプロの暗殺者にしてやる。但し、言っておくが、訓練は厳しい。たとえ女でも、手加減はしないから、そのつもりでいろ」
その日を境に、清花の訓練が始まった。
ただ胸に憎しみだけを燃やし、清花は光王の容赦ない訓練にも耐えた。
清花が見るも無惨な格好で宮殿の門前に転がっていた事情を理解した瞬間だった。
「手を貸して欲しいの。お願い」
追い縋るように続けた清花を光王が初めて振り返る。
「それは、お前次第だ。俺は直接には手を貸さない。だが、お前が目的を遂げられるように、協力することはできる。人を殺すのは、お前が考えているほど甘くも容易くもない。相手を殺せなかったときは、自分が殺されるだけだ。だからこそ、玄人の刺客は相当の熟練した腕を持たなければならない。必ず一撃で相手を仕留めるだけの腕をな」
薄い茶色の瞳が氷のように澄み渡っていた。本当に、お前のような、やわな小娘にできるのか?
そう、問いかけているようであった。
「やるわ」
清花の彼に返した返事もまた呆気ないものだった。
「何度も言うが、口で言うほど、簡単ではないぞ? しかも、相手は国王だ。失敗すれば、お前は必ず生命を失う」
念押しされ、清花は初めて微笑んだ。
「私は一度、死んでいるのよ、光王。あなたたちに助けて貰って、めざめた時、私は生まれ変わったの。一度死んだ人間に怖いものはないわ」
「判った。手を貸そう。お前をどこに出しても恥ずかしくないようなプロの暗殺者にしてやる。但し、言っておくが、訓練は厳しい。たとえ女でも、手加減はしないから、そのつもりでいろ」
その日を境に、清花の訓練が始まった。
ただ胸に憎しみだけを燃やし、清花は光王の容赦ない訓練にも耐えた。