テキストサイズ

妖(あや)しの月に~光と闇の王~【第二部 光の王】

第4章 第二部・生

 そして、〝光王〟が都を賑わす前後になると、光王の塒には人が増え、見たこともない人間が出入りした。それでも彼が上手く役人の眼を眩ましていたのは、常に少人数で行動していたからだろう。人が増えれば、それだけ統制が取れなくなるという理由で、光王はいつも数人程度でしか行動しなかった。
 従って塒に出入りするのも必然的にそれだけの人数というわけで、ましてや町外れの何の変哲もない民家になど誰も注目する人はいなかったのである。
 清花自身は、光王には一度として〝義賊光王〟について訊ねたことはない。それは互いに触れない、踏み込まない領域という暗黙の了解がいつしか二人の間に出来上がっていた。
 〝光王〟は〝義賊の中の義賊〟と呼ばれ、盗賊団の頭であると共に、暗殺集団の長でもある。
 実はこの頃、こんな抗議文が都の至る場所に貼られた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ