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妖(あや)しの月に~光と闇の王~【第二部 光の王】

第4章 第二部・生


 〝当代の王は、朝鮮を暗黒の闇で覆い尽くす王であり、聖君どころか、彼(か)の稀代の愚王燕山君の再来である。
 闇の王は昼夜を問わず美姫を幾人も側に侍らせ、痴れ酒に酔いしれる。
 宮殿中のあらゆる部屋という部屋では女たちの喘ぎ声が聞こえ、心ある人ならば眼を背けるほどの痴態、狂態が繰り広げられている。それにひきかえ、我らが光の王を見よ、たとえ盗賊と呼ばれる盗っ人集団のかしらでも、盗んだお宝は殆ど自分の取り分はなく、都の貧しさに喘ぐ民に惜しげもなく分け与えている。
 闇の王は心の眼を開き、今こそ現実を見るが良い。民だけが知っている。光の王こそが真の王と呼ばれるにふさわしき人であることを。
 国中の民を苦しめる暗君よりも光の王の方がよほど玉座にふさわしい。〟

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