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妖(あや)しの月に~光と闇の王~【第二部 光の王】

第4章 第二部・生

「これは、すべて刺客になるための訓練だったのよね」
 清花が光王の胸に頬を押しつけて呟くと、彼は〝止せ〟と短く応えた。
「だって、心は必要ないんでしょう。私と寝たのも、両班の奥方の道楽に付き合うのと同じで、あなたにとっては何の意味もないんだもの。どう、違う?」
 清花が身を起こそうとすると、光王の腕が伸びてきて、また彼の腕に閉じ込められた。
「そんな言い方は止めろ、お前らしくない」
 少し掠れた声に、清花はムキになって言い返す。
「私にだって、心はあるの。もっとも、そういう意味では、私は暗殺者失格ではあるかもしれないけど。でも、どうやって、女を武器にすれば良いのかはよく判ったわ。ご教授、ありがとう、先生」
「―本当に刺客になるつもりか、たとえ女を武器にしなければならなくなるとしても」

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