妖(あや)しの月に~光と闇の王~【第二部 光の王】
第2章 恋
心の中で呟いた時、遠のきかけていた意識がふうっと元に戻った。
清花はあまりのなりゆきに悲鳴を上げた。
王は最初から清花を殺すつもりはなかったらしい。殺さず、意識を失わせる絶妙の力加減で首を絞め、その間に陵辱するつもりだったのだ。
今、清花のチョゴリの紐は解かれ、王の頭が胸に覆い被さっていた。衿許は完全に開かれ、首筋に生温かい息がかかっている。
王がもどかしさに震える手で下着の紐を解いた。興奮のためか、息が荒い。
直に白い布を胸に幾重にも巻いただけのあられもない格好になった清花を、王は昏い愉悦を宿した眼で憑かれたように眺めている。
「い、いやーっ、止めて、放してっ」
清花は泣きながら、首を烈しく振った。
いや、こんな場所でこんな男に無理に慰みものにされるなんて、絶対にいやだ。
「止めてっ」
清花はありったけの力を込めて、王の逞しい身体を両手で前へと押す。その弾みで、王の身体がほんの一瞬、揺らいだ。
清花はその隙を見逃さなかった。
のしかかっていた男の身体を押しやり、すかさず合間をかいくぐって逃れた。
「待て、待たぬか」
愕きに硬直していた王の貌が怒りでどす黒く染まった。
「おのれ、そうまでして予を拒むとは」
清花は急いで周囲を見回し、脚許の小石を掴む。石つぶてを力を込めて王に向かって投げつけた。
「―ツ」
王が額を押さえ、小さく呻いた。
本来なら、玉顔に傷を付けるなどと、到底あってはならない許されざる所業である。しかし、この期に及んで、無礼も何もあったものではない。
清花はあまりのなりゆきに悲鳴を上げた。
王は最初から清花を殺すつもりはなかったらしい。殺さず、意識を失わせる絶妙の力加減で首を絞め、その間に陵辱するつもりだったのだ。
今、清花のチョゴリの紐は解かれ、王の頭が胸に覆い被さっていた。衿許は完全に開かれ、首筋に生温かい息がかかっている。
王がもどかしさに震える手で下着の紐を解いた。興奮のためか、息が荒い。
直に白い布を胸に幾重にも巻いただけのあられもない格好になった清花を、王は昏い愉悦を宿した眼で憑かれたように眺めている。
「い、いやーっ、止めて、放してっ」
清花は泣きながら、首を烈しく振った。
いや、こんな場所でこんな男に無理に慰みものにされるなんて、絶対にいやだ。
「止めてっ」
清花はありったけの力を込めて、王の逞しい身体を両手で前へと押す。その弾みで、王の身体がほんの一瞬、揺らいだ。
清花はその隙を見逃さなかった。
のしかかっていた男の身体を押しやり、すかさず合間をかいくぐって逃れた。
「待て、待たぬか」
愕きに硬直していた王の貌が怒りでどす黒く染まった。
「おのれ、そうまでして予を拒むとは」
清花は急いで周囲を見回し、脚許の小石を掴む。石つぶてを力を込めて王に向かって投げつけた。
「―ツ」
王が額を押さえ、小さく呻いた。
本来なら、玉顔に傷を付けるなどと、到底あってはならない許されざる所業である。しかし、この期に及んで、無礼も何もあったものではない。