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妖(あや)しの月に~光と闇の王~【第二部 光の王】

第3章 忍

 清花は知らず、身を固くしていた。
 王はまだ笑いながら、両手をひろげた。
「それでは、ここへ参れ」
 意味が判らず小首を傾げると、王がいっそう愉しげに笑う。
「何も知らぬ初な娘なのだな。予の膝に座れと申しておるのだ」
 清花が躊躇っていると、王は腕を伸ばして清花の身体を強引に自分の方に引き寄せた。
 物凄い力だ。上から両肩を押さえつけられ、強制的に膝に座らされる格好になった。
「やわらかい身体だ」
 夜着の上からいきなり尻を撫でられ、清花は悲鳴を上げた。
「どれ」
 ふいに伸びてきた手が胸のふくらみを包み込む。
「―!」
 相手が王とあっては抵抗もできず、清花は涙を堪えて我慢するしかない。男の手は次第に遠慮がなくなってゆく。
 胸を嫌らしく揉まれ始めると、その場から逃げ出したい想いに駆られた。
 胸を揉みしだきながら、王が清花の顔を覗き込む。
「可愛いのは顔だけではなく、身体もだな。清花、この時を待ちかねたぞ、今宵は、この身体で予を愉しませてくれ」
 王が何やら呟きながら、夜着の紐を解いてゆく。乱暴に前が押し広げられ、生温い息が首筋にかかった。やがて押しつけられた唇が首筋をつたい、鎖骨、胸へと降りてくる。
「愛らしいこの実を食べてしまおう」
 胸の薄桃色の先端を口に含まれ、吸われた。ざらざらとした舌先が乳首を転がし、舐め回す。
 王は相変わらず低い声で何やらぶつぶつと言っているようだが、清花の耳にはまるで届いていなかった。
 溢れ出した涙が止まらない。

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