妖(あや)しの月に~光と闇の王~【第二部 光の王】
第3章 忍
秘所の一部分を強く押された瞬間、訳の判らない感覚が腰を突き抜けていったのだ。
「ホホウ、ここだな。ここがそなたのいちばん感じる場所のようだぞ」
王は何度もしつこくその部分を擦った。
数本の指を抜き差しされる度に、自分の声とは信じられないような声が洩れる。
「―ん、ああっ、くんっ」
やがて、これまで感じたこともない鋭い感覚が彼女を襲った。痺れるような、まるで高い崖から一挙に突き落とされるように妖しい得体の知れない感覚が全身を駆け抜ける。
「可愛い奴め」
チュと、また乳房に口付けられ、烈しく吸われた。
―私、一体、どうしちゃったんだろう―。
茫然と天井を見上げる清花に、王が微笑みかけた。
「どうだ、気持ち良かっただろう?」
端整な顔を彩る何とも淫猥な笑みに、清花は悟る。これが王が先刻から繰り返していた〝感じる〟ということなのだ。
刹那、たまらない嫌悪感が押し寄せた。
「い、いやーっ」
清花は泣きながら身を起こす。
渾身の力で王の胸板を押すと、意外なほど呆気なく王の身体が離れた。相当量に酔いが回っているところに、虚を突かれたらしい。よもや自分に抱かれ、上りつめたばかりの女が反撃に出るとは考えもしなかったのだろう。
部屋を横切り、入り口の戸に手をかけ、懸命に叫ぶ。
「誰かっ、助けて! お願い、私を助けて」
「おい、一体、どういうつもりだ?」
いつしか王が背後に迫っていた。
清花は悲鳴を上げ、夢中で戸を開ける。
「助けて、―助けてっ」
「ホホウ、ここだな。ここがそなたのいちばん感じる場所のようだぞ」
王は何度もしつこくその部分を擦った。
数本の指を抜き差しされる度に、自分の声とは信じられないような声が洩れる。
「―ん、ああっ、くんっ」
やがて、これまで感じたこともない鋭い感覚が彼女を襲った。痺れるような、まるで高い崖から一挙に突き落とされるように妖しい得体の知れない感覚が全身を駆け抜ける。
「可愛い奴め」
チュと、また乳房に口付けられ、烈しく吸われた。
―私、一体、どうしちゃったんだろう―。
茫然と天井を見上げる清花に、王が微笑みかけた。
「どうだ、気持ち良かっただろう?」
端整な顔を彩る何とも淫猥な笑みに、清花は悟る。これが王が先刻から繰り返していた〝感じる〟ということなのだ。
刹那、たまらない嫌悪感が押し寄せた。
「い、いやーっ」
清花は泣きながら身を起こす。
渾身の力で王の胸板を押すと、意外なほど呆気なく王の身体が離れた。相当量に酔いが回っているところに、虚を突かれたらしい。よもや自分に抱かれ、上りつめたばかりの女が反撃に出るとは考えもしなかったのだろう。
部屋を横切り、入り口の戸に手をかけ、懸命に叫ぶ。
「誰かっ、助けて! お願い、私を助けて」
「おい、一体、どういうつもりだ?」
いつしか王が背後に迫っていた。
清花は悲鳴を上げ、夢中で戸を開ける。
「助けて、―助けてっ」