ガーディスト~続編~
第5章 ハロウィンの夜に(前編)
「ほんとは今日、お母さんが家に居てくれるはずだったんだけど、あの人きまぐれだからさ…。美夏姉ちゃんは、僕たちのために働いてくれてるから、休むわけにはいかないんだ。だから、もう少ししたら出かけるから、それまで外で待っててよ」
それを聞いて護は、愕然とした。
「そういうことは、よくあるのか?」
「うん…」
「…」
護は口をつぐんだ。
生活が苦しいとはいえ、小さな子供たちを置いてまで働きに出かけるなんて…
(そこまでして働く理由ってなんだ!?)
護はギュッと拳を握った。
その時、カチャッと居間のドアが開く。
「…まだいたの?」
無表情で問いかける美夏を、護は眉間に皺を寄せながら見つめた。
「…また明日来る」
そう言い放って、玄関に向かった。
靴を履く護の後ろ姿を、美夏はジッと見つめた。