テキストサイズ

ガーディスト~続編~

第7章 視えない男(前編)

11号車のトイレの前まで来ると、急いで個室の扉を開ける。



「あとは自分で出来るな?」



男の子が頷くのを確認すると、祐司は扉を閉めた。



「お兄さん、ありがと!」



後から追いかけてきた男の子がお礼を言うと、祐司は笑顔で返しながら、すぐさま浅井のもとに戻って行った。



(浅井さん…無事でいてください!)



緊急事態とはいえ、依頼人から離れてしまったことを後悔する。
最後の扉を開くと、トイレの個室の前にあの若い男が立っていた。



「あなたは…」



祐司が声を発すると、男はゆっくりと振り返った。



「…どうしてこの場を離れた?」



「…っ」



「気をつけろって、言ったよな?」



「……」



男の問いに、祐司は何も言えない。



そんな様子を見て、男はフンッと鼻を鳴らすと、きびすを返しその場を去って行った。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ