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ガーディスト~続編~

第8章 視えない男(中編)

駅のロータリーでタクシーを見つけると、祐司は運転手に一声かけた。



「少し点検してもいいですか?」



そう言いながら名刺を渡すと、それを見た運転手は驚きながら頷いた。



まずはぐるりと車体を確認すると、タイヤ、トランクの中、車の中などをくまなく調べた。
もちろん運転手も、凶器の所持はないか確認する。



その一連の作業を、つばきと浅井はただポカンと見ているだけだった。



「浅井さん、どうぞ」



確認が終わると、後部座席に浅井を座らせる。つばきには助手席に座るよう促した。
最後に祐司が乗り込むと、タクシーはゆっくりと走り出す。



「いやぁ~噂には聞いていたけど、本当にやるんだね」



しばらく無言だった車内で、タクシーの運転手が一番に開口した。



「何をですか?」



助手席に座っているつばきが尋ねる。



「さっきの点検だよ。ボディーガードとその依頼人を乗せると、必ず車と運転手のボディチェックをやらされるって聞いててさ。まさか自分も体験するとは思わなかったよ」



運転手はバックミラーで、祐司を見てニヤリと笑った。



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