テキストサイズ

ガーディスト~続編~

第8章 視えない男(中編)

「ここに住宅地を作るべきじゃなかったんじゃ」



老人はゆっくりと話し始めた。



「ここはもともと雑木林でな、この土地を守るために御神木が祀られていたんじゃよ」



「…」



「だが5年前に建設業者がここに目を付けての、ワシらの忠告も聞かんと伐採してしまったんじゃ」



「…なるほどな」



「だがそれから、やはりよくないことが起こり始めての…せめてと思い、町の中心部に新しく祠(ほこら)を建てて、御神木の枝を祀ったんじゃが…」



そこまで言うと、老人は黙ってしまった。



「つまり…この地には守り神はいない、ってことだな」



男がそう確かめると、老人はコクリと頷いた。



「どうりで霊の無法地帯になってるわけだ」



男は眉間にシワを寄せながら、空(くう)を見つめた。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ