ガーディスト~続編~
第8章 視えない男(中編)
ビュン! ビュン!
かなづちの空を切る音が、どんどん近付いてくる。
あんなもので殴られたらひとたまりもないだろう。
少年は薄ら笑いを浮かべながら、男との距離を縮めていく。
「ちょっと、早く逃げないとっ…!」
離れた場所からつばきが、男に向かって叫んだ。だが男は答えることなく、その場で何かを呟いた。
ビュンッ
かなづちが空を切った瞬間、男は隙をついて少年の背後に回り、背中を軽く叩く。
「ぎゃぁ…!」
少年は一瞬苦しそうな表情を浮かべたかと思うと、そのまま気を失い地面に倒れ込んだ。
「…え…」
ほんの一瞬の出来事に、つばきたちは目を丸くする。
「もう大丈夫だ」
男はすぐにかなづちを拾うと、祐司たちに振り向いた。