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ガーディスト~続編~

第1章 死んでもストーカーする男(前編)

「今日はヨガスクールの日なの。一時間待っててくれるかしら?」




そう言って綾は、5階建てのビルの中に入って行った。
見届けると圭吾はふぅ、と小さく息を吐いた。




「さて、どうしようか」




圭吾はビルの看板を見上げる。
ヨガスクールは3階だ。




「ビルの中で待つか」




圭吾の言葉に、祐司は頷いた。







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1時間後、綾はスッキリした顔で戻ってきた。




「お待たせ」




シャワーを浴びたのだろうか、綾の身体からほのかに石鹸の香りがした。




「次はどちらに?」



「買い物をするわ」




そう言って綾は再び歩き始めた。
祐司や圭吾も後をついていく。
時折通行人が祐司たちに振り向くが、綾は平然としていた。




スーパーに着くと、綾は祐司に「持って」と、カゴを差し出す。
躊躇することなく、欲しいものを次から次へとカゴに入れ、あっという間にカゴはいっぱいになった。




支払いを済ませると、今度は「袋に入れて」と注文される。
祐司は顔色ひとつ変えず、袋に食べ物を入れていった。そしてもちろん、荷物を持つのも暗黙の了解で…。




これではボディーガードというより、召使いだ。しかしこういった、依頼人の勘違いな行動は意外と多い。
ボディーガードはまだまだ身分の低い職業なのだ。




「ここから歩いて10分で、私のマンションに着くわ」




外に出ると辺りは日が落ちて、真っ暗になっていた。



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