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ガーディスト~続編~

第8章 視えない男(中編)

祐司の息が耳元にかかる。
よく見ると、その表情はつらそうだ。



「ゆーじ…大丈夫…?」

「ああ…ちょっと、霊気に当てられただけだ…」



だが、祐司の足取りはおぼつかない。



「つばきは…大丈夫か?」

「うん…体はなんともないよ。この勾玉のおかげだね」

「それなら良かった…」



ハア、ハア…と呼吸を荒くしながら、祐司はライトで奥を照らす。



一軒家のはずなのに、まるで暗闇がどこまでも続いてるようだ。



「つばき、俺から離れるなよ」



そう言って祐司は、つばきの手をしっかりと握った。



「うん…」



つばきもギュッと握り返す。



(あたし、こんな時に嬉しいって思うなんて…めちゃくちゃ不謹慎だ…)



単純過ぎて笑ってしまう。



これからどんなことが起こるかわからないのに…






どれくらい経っただろうか…
やけに長く感じた廊下は終わり、突き当たりの部屋に着いた。



「…ここに浅井さん、いるのかな?」



返事をする代わりに、祐司の喉がゴクリと鳴った。
慎重にドアノブを回してみる。



カチャリ…と扉が開いた。



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