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ガーディスト~続編~

第8章 視えない男(中編)

「あ……ぁ……」



あまりの恐怖に、つばきの全身の力が抜けてしまう。
腰が抜けてズルリと水面に座り込んでしまった時、



シュルルル!!



尋常ではない速さで、長い手がつばきに向かって伸びてきた。



「…っ!!」



足首を掴まれ、一気に引っ張られる。



「いやああああああ…!!」
「つばきっ…!!」



繋いでた手は冷や汗で滑って、簡単に離れてしまった。



あまりの恐怖に、つばきは気を失ってしまう。



暗い水の中にズルズルと引きずり込まれ、完全に飲み込まれてしまった。



「つばきぃぃぃ!!」



怒りの混じった悲痛な叫びが、部屋中に響き渡った。



祐司は力を振り絞って動こうとするが、金縛りにあったようにビクともしない。



「…くっ…!」



ギリッと奥歯を噛み締めた。
自分の無力さを思い知らされる。



(やっぱり連れてくるべきじゃなかったんだ…!!)



後悔の渦が巻き起こる。



大切な人を失う気持ち…
今なら浅井の気持ちが痛いほどわかる。




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