ガーディスト~続編~
第8章 視えない男(中編)
「え、でも外は…」
明は窓の外をチラッと見た。
まだ黒い影がいくつか見える。
「2人ならなんとかなる。車もそう離れてないしな。明、案内頼む」
「え…僕、道知らないよ」
「…」
男はハァッとため息をついた。
「しゃあねぇな。あんた、地図あるか?」
男は浅井に問いかけた。
「…良ければ私が案内しますよ」
「浅井さん!?」
「すみません…村上さん。私もこの住宅地のために何かできることをしたいんです」
「…浅井さん…」
「私は今まで何もしてこなかった。結果、妻や娘を失ってしまった。それはもう、どうすることもできません…
だけど、今生きている人たちは、明くんのように助かるかもしれないんです。だから、もう私は見て見ぬふりをしたくない、目の前の現状から逃げたくないんです」
そう語った浅井は、しっかりと前を向いていた。
もう、以前のような気弱な浅井ではない。